2009年5月新譜 5点 発売中 ★DSD録音
2009年5月発売の5枚は弦楽四重奏団の特集です。
8CDR-3194
ハイドン:弦楽四重奏曲第67番ニ長調作品64-5, Hob.III-63「ひばり」
カペー弦楽四重奏団
リュシアン・カペー(第1ヴァイオリン)
モーリス・エウィット(第2ヴァイオリン)
アンリ・ブノワ(ヴィオラ)
カミユ・ドゥロベール(チェロ)
英 COLUMBIA D13070/2
(1928年10月4日パリ録音)
史上最高の弦楽四重奏団だったフランスのカペー四重奏団のリーダー、リュシアン・カペー(1873.01.08-1928.12.18)は医師の誤診による腹膜炎で急逝した。死の年の1928年、6月10日からフランス・コロンビアに録音を開始したカペー四重奏団は10月15日までの短期間に10インチ盤7枚、12インチ盤44枚の録音を残した。カペーはパリ音楽院でジャン=ピエ-ル・モーランに師事し、1893年一等賞を得た。その年に弦楽四重奏団を組織し、またソリストとして活動を開始した。1907年パリ音楽院の室内楽科の教授に任命され、1924年にはヴァイオリン科の教授に就任した。弟子にジュリアードのイヴァン・ガラミアン(1903-1981)がいる。このシリーズではフランク:ピアノ五重奏曲(78CDR-1034),ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第5番(78CDR-1042),シューマン:弦楽四重奏曲第1番(78CDR-1056),ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第14番(78CDR-1082)が出ている。
78CDR-3195
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第16番ヘ長調作品135
ブッシュ弦楽四重奏団
アドルフ・ブッシュ(第1ヴァイオリン)
ゲスタ・アンドレアソン(第2ヴァイオリン)
カール・ドクトル(ヴィオラ)
ヘルマン・ブッシュ(チェロ)
日本 VICTOR JD476/9 (英 HIS MASTER'S VOICE DB2113/6 と同一録音)
(1933年11月13日ロンドン, アビー・ロード第3スタジオ録音)
ブッシュ弦楽四重奏団はリーダーのアドルフ・ブッシュ(1891-1952)によって1919年に組織された。当時ブッシュはベルリン高等音楽院の教授の地位にあった。ブッシュ四重奏団は何回かのメンバーの交代があったが1930年にこの録音のメンバーになった。チェロのヘルマン・ブッシュ(1897-1975)はアドルフの実弟。この録音はこの楽団の絶頂期のものの一つ。ベートーヴェンの最後の作品をあるべき姿で演奏した歴史的録音である。
78CDR-3196
モーツァルト:弦楽四重奏曲第19番ハ長調 K.465「不協和音」
レナー弦楽四重奏団
イェノ・レナー(第1ヴァイオリン)
ヨーゼフ・スミロヴィッツ(第2ヴァイオリン)
シャーンドル・ロート(ヴィオラ)
イムレ・ハルトマン(チェロ)
英 COLUMBIA L1545/8
(1923年11月7-8日録音)
※機械式録音(お詫び:各所にキズによる雑音あり)
レナー弦楽四重奏団はハンガリーのブダペスト音楽院出身の4人によって1918年に結成された。4人は1884年生まれと1885年生まれの同年代である。1920年にウィーンでデビューした。デビュー前の2年間は田舎の村で共同生活をして1日12時間の練習を重ねたと伝えられる。1922年にロンドン・デビュー、同時にイギリス・コロンビアの専属アーティストになった。この録音は契約当初断片曲・小品の録音を行なっていたこの四重奏団が取り組んだ初の全曲物で、しかもこの名曲の世界初録音。このシリーズではモーツァルトの弦楽四重奏曲
K.387(78CDR-1055),弦楽四重奏曲 K.421(78CDR-1062),弦楽四重奏曲 K.458「狩り」(78CDR-1097),弦楽五重奏曲
K.516(78CDR-1085),クラリネット五重奏曲(クラリネット:ドゥレイパー)(78CDR-1045)が出ている。
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モーツァルト:弦楽四重奏曲第22番変ロ長調 K.589「プロシャ王第2番」
コーリッシュ弦楽四重奏団
ルドルフ・コーリッシュ(第1ヴァイオリン)
フェリックス・クーナー(第2ヴァイオリン)
オイゲン・レーナー(ヴィオラ)
ベルナール・ハイフェッツ(チェロ)
英 HIS MASTER'S VOICE DB3432/4(米 VICTOR 14626/8 と同一録音)
(1937年9月22&28日アメリカ録音)
コーリッシュ弦楽四重奏団は新ウィーン楽派の弦楽四重奏曲を演奏する目的でルドルフ・コーリッシュ(1896-1978)によって1921年に組織された。当初は作曲家シェーンベルクの指導を受けウィーン弦楽四重奏団という名称だったが、後にコーリッシュ弦楽四重奏団に改称し、現代音楽だけではなく古典レパートリーの演奏にも取り組んだ。コーリッシュは子供の頃左手に怪我をしたため、右手でヴァイオリンを持ち、左手に弓を持ってひいた。この録音はアメリカで行われたもので、有名なシェーンベルクの4曲からなる弦楽四重奏曲の録音(米ARCO)の後のもの。現代音楽のスペシャリストがモーツァルトやシューベルトの演奏をしたところが聴きどころ。1942年にこの四重奏団は解散した。
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ラヴェル:弦楽四重奏曲ヘ長調
クレトリー弦楽四重奏団
ロベール・クレトリー(第1ヴァイオリン)
ルネ・コスタール(第2ヴァイオリン)
フランソワ・ブロー(ヴィオラ)
アンドレ・ナヴァラ(チェロ)
仏 DISQUE GRAMOPHONE W975/7
(1929年3月22日パリ録音)
クレトリー弦楽四重奏団のリーダー、ロベール・クレトリー(1891-)は、名チェリスト、ピエール・フルニエ(1906-1986)の師だったオデット・クレトリーの弟で、その縁で1924年に19歳のフルニエがチェリストの席にあった。クレトリーは作曲家ガブリエル・フォーレ(1845-1924)のピアノ三重奏曲作品120の初演(1923)にも参加した。また1925年のフォーレ追悼演奏会でフォーレの弦楽四重奏曲ホ短調作品121
を第1ヴァイオリンがジャック・ティボー(1880-1953)、第2ヴァイオリンがクレトリー、ヴィオラがモーリス・ヴィウー(1884-1951)、チェロがアンドレ・エカン(1866-1925)で弾いた。弦楽四重奏団にはフルニエの後任として1928年にアンドレ・ナヴァラ(1911-1988)が入った。フランス・コロンビアの専属だったクレトリー四重奏団がこのラヴェルを仏
HMVに録音したのは、フランス・コロンビアにはカペー四重奏団が録音したばかりだったからだ。この香り立つようなラヴェルはカペーの名演に比肩する。また18歳のナヴァラの雄弁なチェロも聴きものである。 |